ノベルゲのすすめ、時間のおとぎばなし『ISLAND』
2016年という発売する時期や、『ISLAND』というあまりに特徴のない名前のせいか、クオリティや、参加している声優が田村ゆかり・阿澄佳奈・村川梨衣らだったりするにしては知名度が低いビジュアルノベル。
目を覚ませば、小さな島の浜辺に流れ着いていた。何も思い出せない。そんな中、徐々に思い出していくいくつかの事。自分は”未来からやってきた”という事。それは、”世界を救う為である”という事。小さな島で”初めて出会った少女”は、”りんね”と言う名前である事。そして、”世界を救う為、元凶となる人物を殺さなければいけない”という事だった。
といった内容。*1
上記のOP映像の中で炎の中で笑う少女の絵を見てわくわくを抑えきれずプレイした作品だった。いえ違いますりえしょん*2が声優陣に居たから気になったとかじゃないです。
みんなは所謂タイムトラベル作品を観た事があるだろうか? シュタインズゲートや時をかける少女*3、或いはドラえもんのタイムマシンを使う回でもいい。
もしも、タイムトラベル作品を観た事がないという人が居たなら、上記のどれでもいい、見てきてから続きを読んで欲しい。
続きで上記の作品などのネタバレをするとか言う訳ではなく、単にタイムトラベル作品の初見という一番面白い所を邪魔したくないだけだ。
さて、
自分は初めて見たタイムトラベル作品にわくわくした!
もし時を繰り返すことができたらなんて自由なのだろう!
自由なだけではない。誰よりも賢く、強くなれる。ミスと無縁の人生を送れる。
そして――会えなくなった人にも会いに行ける。無くなったものを見に行ける。
その一事は特に「不安を大きく無くすことができる素晴らしい概念だ」と、前向き何だか後ろ向きなんだがな話だが、わくわくした事を覚えてる。
みんなもきっと想像したことがあるはずだ。
時を遡れたらあの時後悔した行動をやり直せる!
未来を見に行けたら、理想のあの子と結婚しているか確認して、もし出来ていないなら今から変える事ができる!
ああ、本当にそんなものがあったらいいのに、って。
そんな風にタイムトラベル物というのは広い可能性を見る事ができるわくわく作品だ。
それと同時に色々考えてしまう作品でもある。
上記のように過去や未来を変え、希望を見る事もできる。
が、もし二人以上の人が同時に過去を変えたら?
もし小さなことがきっかけで取り返しのつかないほどの変化をもたらしてしまったら?*4
希望の裏には未知の恐怖もある。
『ISLAND』はそんなタイムトラベル作品に一石を投じる作品だと思う。
だから、タイムトラベルについて考え、悩み、希望を見たり、不安になったり、そんな風にわくわくを感じる人には特におすすめしたい。
▲伽藍堂 沙羅(がらんどう さら)CV:村川梨衣
▲枢都 夏蓮(くるつ かれん)CV:阿澄佳奈 (と、主人公)
この作品の一番のすすめ所は怒涛の展開だ。
開幕主人公は記憶喪失で、自分の名前さえ分からないという。
しかし10分もプレイすればいくつもの出来事と出会う。
記憶喪失の主人公は小さな島の浜辺に打ち上げられ、全裸で歩いていた所を警官に捕まる。事情聴取で何をしに来たのと聞かれ、湧いてくる謎の使命感から、自分は世界を救いに来たのだと気付く。その後、話に出てきた今日の日付に対し違和感を感じ、自分が未来から世界を救いに来た人間だと確信する。当然警官には呆れられるばかりだったが根拠もなく主人公は確信した。しかし島の町長が、島に変化をもたらしてしまうよそ者は本土に送り返さねばならないと言い、船を用意され即刻本土へ送り出されることになる。主人公はこの島でする事があるはずなんだ、と逃げ出すが、小さな島に逃げ場所なんてなかった。追い詰められ、たどり着いた最初に打ち上げられた浜辺で頭に浮かんだ救うべき少女の名前を叫んだ。そして、少女と主人公は出会った。
未来から来た事も、救うべきだという使命感も、はっきりとしない事だったが、主人公が救うべきだと思っている”りんね”という名の少女は確かにいた。しかし、少女も主人公もまだ”互いの事すら知らない”。
そんな感じで物語は始まる。
主人公は飄々とした風なのだが、記憶喪失に人並みに不安に駆られている。未来人である事、世界を救う使命がある事を証明する為、事態の好転を目指し行動し続ける事で物語が進んでいく。
その様は軽々にも、力強くも、コミカルにも描かれる。
主人公と同調するように、初見だった時の自分も「どうすればいいのか……」と考えて込んでしまう作品だった。
この作品に入り込ませてくれる要素として音楽もとてもいい。
特に√のラストシーン付近に持ってこられる曲が好きだ。プレイしてみたならきっとどの曲の事か分かるはずだ。√後はギャラリーで是非その曲名を読んでもらいたい。格好良い!
主人公がちょっとふざけた性格のせいかコミカルな音楽が多めにあり、コミカルなシーンが多い。それを含めてピアノの綺麗な曲が彩るシーンが多くあるのが個人的に高ポイントだ。
最後に個人的に好きなキャラ、ヒロインの伽藍堂沙羅を紹介したい。*5
先ほど紹介したOP映像で炎の中に居た少女だ。
巫女服を着ていることからもわかるように信心深い……というより、思い込みが激しい子だ。未来人だと名乗った主人公をすぐに信じ、挙句未来人はタイムパラドックス*6により世界を壊してしまうと初対面の主人公に刃を向ける(比喩ではなく)。その後も主人公を殺そうと色々行動をとる。しかし主人公と沙羅の目的はどちらも島を救いたいという事で同調し、奇妙な関係の中、話が進んでいくことになる。皮肉を言いながらも互いに互いを否定しない様子が微笑ましい(?)。
総じてこの作品は思わず考え込んでしまうような物語だ。
考えて、悩んで、その先の結末を探ってしまう。
そして、その結末に驚く。
そんな作品を探しているなら、この『ISLAND』をすすめたい。
この作品はPCパッケージ版*7、steam版、PSVita版、PS4版がある。
それぞれに特別大きな差異はないからどれでもいいと思う。
また、アニメ版が存在するが、新キャラを増やし、全十二話に収めてしまった作品なので展開、キャラ、もろもろが違うので、個人的には初見ではおすすめしない。もし『ISLAND』がどんな作品か確認したいなら体験版をすすめたい。
http://never-island.com/game/download.html
▲体験版
▲PC版公式サイト
▲余談なのだけど、個人的にホラーが苦手だから一応補足しておきたい。
この作品のPC版サイトにはちょっとした一つのギミックがある。
でもこの作品をホラー作品ではない。
この作品を読んでトイレに行きにくくなる、なんてことはないはずだ。
▲PCsteam版ストアページ
https://www.prot.co.jp/psv/island/index.html
▲PSVita版公式サイト
https://www.prot.co.jp/ps4/island/index.html
▲PS4版公式サイト